●「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。
このサミットでは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいるのです。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。日本では、政府を中心に企業・自治体・各種団体・個人によって、SDGsへの取り組みが進められてきました。
そもそも、持続可能な開発とは?
●「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。
このサミットでは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいるのです。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。日本では、政府を中心に企業・自治体・各種団体・個人によって、SDGsへの取り組みが進められてきました。
●17の大きな目標の中身を少し見てみましょう。
目標1. 貧困をなくそう
(ターゲットと指標はこちら。)
『あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる』
国際貧困ラインに該当する人々は、世界で7億人以上。1日1.9ドル未満で暮らしています。貧困に起因する問題は、健康、差別、経済、紛争、人身売買など多岐に渡ります。また、近年世界中で多発する災害も生活基盤が失われることから、貧困を招く要因となっています。あらゆる貧困に終止符を打つためには、全世界が一丸となり、問題の解決に向かう必要があります。
目標2. 飢餓をゼロに
(ターゲットと指標はこちら。)
『飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する』
世界では、8億人が飢餓や栄養不足に苦しんでいます。飢餓は、病気や労働不能、経済不安定、教育問題につながり、人間や社会の成長を妨げます。飢餓をなくすために、農家の生産性向上が求められますが、農薬による環境破壊の問題も起きています。生態系を守りながら、栄養ある食糧を安定して生産する、持続可能な農業の重要性が叫ばれています。
目標3. すべての人に健康と福祉を
(ターゲットと指標はこちら。)
『あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する』
5歳未満で亡くなる子どもは推定530万人。死因の多くは肺炎や下痢、マラリアなど、適切な医療により予防や治療が可能なものです。さらに、毎年280万人の妊婦と新生児も予防可能な要因で命を落としています。このほか、薬物乱用やアルコール、環境汚染による病気、エイズなどの感染症拡大も深刻です。この状況を改善するためには、健康に関する知識を広め、すべての人が適切な医療を受けられる環境づくりが必要です。
目標4. 質の高い教育をみんなに
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『すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する』
読み書きができない15歳以上の人は世界で7億人以上。そのうち3分の2が女性で、貧困や差別、紛争によって教育の機会を喪失しています。読み書きができなければ、日常生活に支障を来すだけでなく、十分な報酬を得る仕事に就くことができません。教育や職業訓練によって自らの生活を支えるすべを享受し、人々が健康で持続可能な暮らしを営むことは、貧困の連鎖を絶ち、差別を是正することにもつながります。
目標5. ジェンダー平等を実現しよう
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『ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う』
世界では、約2億5,000万人の女児が15歳未満で結婚しています。“女性だから”という理由で教育が受けられず、結婚や出産・家事を強制されるケース、女性性器を切除されるケースが依然として存在します。このほか、人身売買による女性の性的搾取も大きな社会問題です。ジェンダー平等の達成は、貧困や健康、教育、性暴力の問題から脱却した、健全な社会の実現に大きく関係しています。
目標6. 安全な水とトイレを世界中に
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『すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する』
世界では、1億4,400万人が河川や湖、用水路などにたまった未浄化の地表水を使用し、その健康被害によって、多くの命が失われています。また、42億人は安全に管理されたトイレを使用できず、30億人は自宅に基本的な手洗いの設備がありません。 生命の根源である、安全な水の確保と上下水処理技術の拡大は、人々の健康や自然環境の保護に欠かせません。持続可能な水資源の活用は、全世界の課題です。
目標7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
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『すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する』
電力が利用できない暮らしをしている人々は、世界人口の11%に上ります。電力が使えない地域では、薪や炭で調理をすることから、室内に汚れた空気が充満し、健康被害が懸念されています。しかし、従来の化石燃料に依存した電力供給の拡大は、資源の枯渇や温室効果ガスの問題を悪化させるため、エネルギーを効率的に活用する仕組みと、環境負荷のない、誰もが利用できる安価でクリーンなエネルギーの技術開発が求められています。
目標8. 働きがいも経済成長も
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『包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する』
先進国では、仕事による過労死や鬱(うつ)、社会的弱者への差別や賃金格差が問題視されている一方、途上国では、失業率の高さと児童労働が大きな問題となっています。児童労働に従事する5〜17歳の子どもは、約1億5,200万人。児童労働は、子どもの健康や発達を侵害し、教育からも遠ざけ、さらなる貧困を生み出します。経済成長と人間らしい暮らしの両立がなければ、持続可能な社会の実現は困難です。人々の犠牲の上に成り立つ経済ではなく、働きがいのある仕事と安定した暮らしを基盤とした経済成長の呼びかけが、この目標です。
目標9. 目標産業と技術革新の基盤をつくろう
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『強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る』
産業の発展に欠かせない道路網や水道、電力、衛生施設、通信技術などの生活基盤(インフラ)。途上国では、総合的なインフラの整備が急務とされていますが、インフラが整備されている先進国においても、自然災害の脅威に、その脆弱さが明らかとなり、より強靱なインフラづくりが求められています。また、今後の産業発展においては、限りある資源を効率的に使用する技術革新や、誰もが公平に参入できる産業の実現も、世界的な課題と言えます。
目標10. 人や国の不平等をなくそう
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『各国内及び各国間の不平等を是正する』
世界の富の82%は1%の富裕層に集中しており、世界で最も裕福な8人が36億人に匹敵する資産を所有しています。こういった所得格差の問題は、国内にも存在し、日本の相対的貧困率は15.8%と過去30年で増加しています。世界中の極端な経済格差を是正し、富がバランス良く分配される仕組みづくりや、性別、教育、障害の有無、人種、民族、宗教などに基づく理不尽な差別や不平等をなくすことが、多様性に満ちた持続可能な社会に必要とされています。
目標11. 住み続けられるまちづくりを
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『包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する』
現在、世界人口の半数以上が都市部に暮らしており、地球上の陸地面積の3%に相当する都市が、エネルギー消費量の60~80%、炭素排出量の75%を占めています。2030年には世界人口の7割近くが都市部に集中すると予測されることから、エネルギー消費と環境汚染の拡大が懸念されます。都市の人口集中については、住宅不足、建物の老朽化、交通渋滞、格差の拡大、スラム街の進行など、多くの課題があります。また、災害の際、甚大な被害を受ける懸念もあります。環境を守りながら、災害に強く、誰もが安心して暮らせる街づくりの実現が求められます。
目標12. つくる責任つかう責任
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『持続可能な生産消費形態を確保する』
2050年に世界人口が96億人に達した場合、地球3つ分の資源を要すると言われています。大量生産大量消費、大量廃棄を繰り返した経済発展は、資源の枯渇だけでなく、環境汚染や気候変動を誘発しています。この負の連鎖から抜け出すには、環境に負荷のない方法で、環境にやさしいものを必要な量だけ生産・消費し、あらゆる廃棄物をリサイクルする仕組みづくりなど、地球環境に配慮した生産・消費行動の見直しが必要です。そして、それらを支える技術開発の推進も不可欠です。
目標13. 気候変動に具体的な対策を
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『気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる』
世界の平均気温は、産業革命前と比較すると0.87度上昇しており、このまま気候変動が進行すれば、異常気象による自然災害、食糧難や水不足が心配されます。また、海面温度の上昇による陸地や森林の減少で、生態系への悪影響も危惧されます。現在、その対策として推進されているのが、温室効果ガスの排出を抑制して気候変動をやわらげる「緩和策」と、発生した災害の被害を最小限に抑える「適応策」です。同時に、大量のエネルギーを浪費して経済を拡大してきた先進国は、開発途上国や後発開発途上国に対して支援政策をおこなうことも責務とされています。
目標14. 海の豊かさを守ろう
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『持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する』
今や、海を取り巻く状況は深刻です。問題は大きく分けて2つあり、人が排出する大量のゴミや排水による海洋汚染と、漁業による水産資源の枯渇です。持続可能なレベルにある魚資源は、1974年に90%でしたが、2017年には65.8%まで減少しています。この状況が改善されなければ、生態系の破壊が進み、いずれは、人間も海の恵みを享受することは困難になります。海を汚さない暮らしと、海洋資源の保全に努めるという持続可能な漁業のあり方が問われています。
目標15. 陸の豊かさも守ろう
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『陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する』
世界では、毎年、東京都約60個分もの森林が失われています。また、毎年干ばつと砂漠化で消失する土地は、日本の国土の約3分の1にあたります。これらは、人間の経済活動がもたらした環境破壊や気候変更が起因とされており、その影響から、野生生物の27%が絶滅の危機に瀕しています。豊かな緑の大地や水源が失われ、生命の循環が絶たれれば、人間も地球上で生きてゆくことはできません。陸地の生態系を保護し、自然と調和した経済や産業の模索が急がれます。
目標16. 平和と公正をすべての人に
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『持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する』
世界では、紛争やテロ、犯罪、搾取、虐待など、あらゆる暴力で命を落とす人が後を絶ちません。また、汚職などの不正によって、治安の悪化や経済損失も招かれています。途上国では出生登録がされず、法的に保証されるべきサービスが受けられないこともあります。こうした、さまざまな脅威に対して、人々の人権が法的に守られる平和で公正な社会の実現が求められています。そのためには、民主主義に根ざした政治や法律を、正しく機能させることが必要です。
目標17. パートナーシップで目標を達成しよう
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『持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する』
SDGsの達成は、個人や単独の組織の力だけでは不可能です。その実現に向けては、各国の政府同士だけでなく、あらゆる個人や団体、研究者、企業、地域の人々が強いパートナーシップを結び、相互に協力し合う体制が重要です。さまざまな立場の人が目標を共有し、ともに目標を達成していくことが、誰一人取り残さない持続可能な社会を実現する、原動力となります。
●企業が SDGs に取り組む理由
SDGs は国連の目標であり、SDGs に含まれる環境問題や社会課題は公的セクターが解決するべ
きという考え方もあるだろう。しかし、既に多くの企業が SDGs に取り組み始めている。これは、
SDGs が社会を良くする、もしくは環境を改善するためだけに行うものではなく、企業価値の向
上や、将来のビジネスチャンスにつながるものと捉えられているためだ
1.新規市場開拓・事業機会創出の可能性
ビジネスと持続可能な開発委員会(Business & Sustainable Development Commission)の試算によると、SDGs によってもたらされる市場機会は、なんと年間 12 兆ドルにも上るとのこと。大きなビジネスチャンスがあるといえそうです。
2.事業の持続的成長の確保
ビジネスモデルにSDGsの考え方を組み込むことで、企業の事業そのものの持続可能な成長も実現できるようになります。例えば、木材を原材料とするビジネスを持続的に成長させるためには、「森林の持続可能な管理」を掲げる目標15を踏まえたビジネスモデルの構築が不可欠でしょう。
3.企業価値の向上
社会課題に取り組む企業として、企業価値の向上が期待できます。投資家からの評価向上、顧客・消費者からのイメージアップ、従業員のモチベーションアップ、優秀な人材を惹きつける採用ブランディングなど、得られるメリットは多岐にわたりそうです。
なお、2019年に日経新聞が行った「SDGs経営調査」 によると、SDGsへの取り組みに積極的な企業は、そうでない企業よりも収益力(売上高営業利益率、自己資本利益率)が高い傾向にあるとのこと。社会課題の解決と企業の事業成長は、両立できるだけでなく、むしろ相互に関連しているといえそうです。
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